4.薔薇


前曲のIdealeと並んで、その旋律美が光るトスティの代表作です。過去の愛に囚われた女性に、その女性を慕う男性が話しかけている構図でしょうか。短調の悲しげな旋律ではなく、かくも美しい長調メロディーに乗せて、二重の失恋が描かれていると思うと、よりこの作曲家のシンプルな作風に込められた深みが感じられるように思います。歌詞があるということのエネルギーを実感し、声楽にのめり込むきっかけになった曲の一つです。